○一宮市緑地の保全及び緑化の推進に関する条例
令和4年12月20日
条例第46号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 緑の保全(第7条―第17条)
第3章 緑の創出(第18条―第27条)
第4章 緑の普及(第28条―第30条)
第5章 雑則(第31条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、緑地の保全及び緑化の推進について、基本方針を定め、緑豊かな都市環境の形成を図り、もって市民の健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 緑地 樹林地、草地、水辺地その他これらに類する土地(農地であるものを含む。)が、単独で又はこれらと一体となって、良好な自然的環境を形成しているものをいう。
(2) 緑化 土地又は建築物その他工作物に、樹木、草花等を植栽することをいう。
(3) 緑 土地又は建築物その他工作物に植栽されている樹木、草花等をいう。
(4) 事業者 一宮市内において事業活動を行うものをいう。
(基本方針)
第3条 緑地の保全及び緑化の推進は、次に掲げる方針(以下「基本方針」という。)に基づき行うものとする。
(1) 豊かな緑を良好な状態で保全するとともに、生物多様性の確保を推進し、将来の世代に継承すること。
(2) 市民が健康でかつ豊かで快適な暮らしができるよう、新たな緑地空間を創出すること。
(3) 市民及び事業者(以下「市民等」という。)並びに市が緑の重要性を認識し、相互に協力すること。
(市の責務)
第4条 市は、基本方針に従い、緑地の保全及び緑化の推進に関する総合的な施策を策定し、実施するものとする。
2 市は、緑地の保全及び緑化の推進に関する広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と連携を図るものとする。
3 市は、緑地の保全及び緑化の推進に関し、市民等に対して啓発、知識の普及を図るとともに、意識の高揚が図られるよう努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本方針に従い、緑地の保全及び緑化の推進に努めるとともに、市が実施する緑地の保全及び緑化の推進に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本方針に従い、緑地の保全及び緑化の推進が図られるよう必要な措置を講ずるよう努めるとともに、市が実施する緑地の保全及び緑化の推進に関する施策に協力しなければならない。
2 事業者は、その事業活動によって緑地が損なわれたときは、自らの責務と負担において緑化に努めなければならない。
第2章 緑の保全
(保全すべき緑地の指定)
第7条 市長は、良好な自然環境及び美観風致上必要と認める区域で、次の各号のいずれかに該当するものについて、その所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)の同意を得て、保全すべき緑地として指定をすることができる。
(1) 風致及び景観に優れている区域
(2) 貴重な文化的遺産又は社寺その他郷土の伝統的な資産と一体となって良好な自然環境を有している区域
(3) 生物多様性の確保に必要な生物の生息及び生育地として保全する必要がある区域
2 前項の規定は、国又は地方公共団体の所有又は管理に係る区域については適用しない。
3 緑地の所有者等は、市長に対し、その所有又は管理する緑地について保全すべき緑地としての指定の申請をすることができる。
4 市長は、第1項の規定により保全すべき緑地の指定をしたときは、その旨を公告するとともに、所有者等に通知しなければならない。
5 市長は、第1項の規定により保全すべき緑地の指定をしたときは、これを表示する標識を設置しなければならない。
2 市長は、公益上の理由その他特別な理由があるときは、保全緑地の指定を解除し、又は変更することができる。
(保全緑地の所有者等の責務)
第9条 保全緑地の所有者等は、当該保全緑地を適切に管理し、その保全に努めなければならない。
(保全緑地における行為の届出)
第10条 保全緑地内において、次に掲げる行為をしようとする者は、事前に市長に届け出なければならない。
(1) 木竹の伐採
(2) 建築物その他工作物の築造
(3) 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(4) 前3号に掲げるもののほか、当該保全緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為
2 前項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
(1) 非常災害のため必要な応急処置として行う行為
(2) 保全緑地の保護のための行為
(3) 通常の管理行為
4 保全緑地について、所有者等が変更したときは、新たに所有者等になったものは、遅滞なくその旨を市長に届け出なければならない。
(保全緑地に関する支援)
第11条 市長は、保全緑地の所有者等に対し、保全緑地の保全を図るため必要があると認めるときは、その保全に必要な支援をすることができる。
(保存すべき樹木の指定)
第12条 市長は、良好な自然環境を保全するため、必要と認めるときは、規則で定める基準に該当する樹木の所有者等の同意を得て、保存すべき樹木として指定をすることができる。
2 前項の規定は、次に掲げる樹木については、適用しない。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)、愛知県文化財保護条例(昭和30年愛知県条例第6号)又は一宮市文化財保護条例(昭和35年一宮市条例第20号)の規定により指定された樹木
(2) 景観法(平成16年法律第110号)の規定により指定された景観重要樹木
(3) 国又は地方公共団体の所有又は管理に係る樹木で前2号に掲げるもの以外のもの
3 樹木の所有者等は、市長に対し、その所有又は管理する樹木について保存すべき樹木としての指定の申請をすることができる。
4 市長は、第1項の規定により保存すべき樹木の指定をしたときは、その旨を公告するとともに、所有者等に通知しなければならない。
5 市長は、第1項の規定により保存すべき樹木の指定をしたときは、これを表示する標識を設置しなければならない。
2 市長は、公益上の理由その他特別な理由があるときは、保存樹木の指定を解除することができる。
(保存樹木の所有者等の責務)
第14条 保存樹木の所有者等は、当該保存樹木について枯渇の防止その他その保存に努めなければならない。
(保存樹木における行為の届出)
第15条 保存樹木の所有者等は、次に掲げる行為をしようとするときは、事前に市長に届け出なければならない。
(1) 枝の切除
(2) 移植
(3) 前2号に掲げるもののほか、保存樹木の保存に影響を及ぼすおそれのある行為
2 前項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。
(1) 非常災害のため必要な応急処置として行う行為
(2) 保存樹木の保護のための行為
(3) 通常の管理行為
4 所有者等は、保存樹木が滅失し、又は枯死したときは、遅滞なくその旨を市長に届け出なければならない。
5 保存樹木について、所有者等が変更したときは、新たに所有者等になったものは、遅滞なくその旨を市長に届け出なければならない。
(保存樹木に関する支援)
第16条 市長は、保存樹木の所有者等に対し、保存樹木の保存について、必要な助言又は指導を行うことができる。
2 市長は、保存樹木の所有者等に対し、保存樹木の保存のために必要があると認めるときは、その保存に必要な支援を行うことができる。
(市民緑地)
第17条 市長は、市民の利用に供する緑地として、都市緑地法(昭和48年法律第72号。以下「法」という。)第55条第1項に規定する市民緑地(以下「市民緑地」という。)の設置に努めるものとする。この場合において、土地の所有者が市に無償で土地を貸し付けるときは、市長は、税を免除することができる。
2 市長は、法第60条第1項に規定する市民緑地設置管理計画の認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)が設置した市民緑地に対し、次の措置を講ずることができる。
(1) 市民緑地の保全を図るため必要があると認めるときは、その保全に必要な支援をし、又は税を減額すること。
(2) 認定事業者が市民緑地を設置するために必要な整備費について、必要があると認めたときは、その整備費の一部を助成すること。
第3章 緑の創出
(公共施設の緑化)
第18条 市は、市が設置し、又は管理する学校、庁舎その他の公共施設及びその敷地について、緑化を行い、緑の適切な管理をしなければならない。なお、緑化に当たっては、地域の生態系に配慮するとともに、在来種による植栽に努めるものとする。
2 市は、国又は他の地方公共団体等が設置し、又は管理する公共施設及びその敷地について、地域の生態系に配慮するとともに、在来種による植栽などの緑化に努めるよう協力を求めるものとする。
(民間施設の緑化)
第19条 市民等は、その住居、事業所、営業所等の施設及びこれらの敷地について、緑化を行い、緑の適切な管理に努めなければならない。なお、緑化に当たっては、地域の生態系に配慮するとともに、在来種による植栽に努めるものとする。
(1) 建築物の修繕、模様替え、用途変更又は増築
(2) 仮設建築物の建築
(3) 自己の居住の用に供する専用住宅の建築
(4) 3千平方メートル未満の敷地における建築(市街化調整区域において倉庫を建築する場合を除く。)
2 前項第4号に規定する建築行為を行う建築行為者は、当該建築物及びその敷地について、規則で定める基準により、緑化を行うよう努めるものとする。
4 第1項の規定は、工場立地法(昭和34年法律第24号)第6条第1項に規定する特定工場の敷地の区域については、適用しない。
(緑化の計画)
第21条 建築行為者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、緑化の計画を市長に提出し、承認を得なければならない。ただし、敷地面積が3千平方メートル未満の場合は、この限りではない。
2 前項に規定する緑化の計画は、規則で定める基準に適合するものでなければならない。
3 建築行為者は、第1項の規定により承認を得た緑化の計画を変更するときは、規則で定めるところにより、当該変更に係る緑化の計画を市長に提出し、承認を得なければならない。
4 第1項の規定により承認を得た緑化の計画を廃止するときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を市長に届け出なければならない。
(完了の検査)
第23条 市長は、前条の規定により届出があったときは、この条例の施行に必要な限度において、承認建築行為者に報告若しくは資料の提示を求め、又はその職員に、緑化を行った建築物若しくは敷地に立ち入りをさせ、若しくは検査をさせることができる。
2 前項の規定により検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(優良緑化建築物等の認定)
第24条 市長は、緑化の取組が優良である建築物又は敷地であると認められるもの(以下「優良緑化建築物等」という。)について、建築行為者の申請に基づき、優良緑化建築物等の認定をすることができる。
2 市長は、前項の規定により優良緑化建築物等の認定をしたときは、その旨を証する書面を建築行為者に交付し、広く一般に周知するものとする。
(指導)
第25条 市長は、建築行為者が次の各号のいずれかに該当するときは、必要な措置を講ずるよう指導することができる。
(勧告)
第26条 市長は、建築行為者が前条の指導に従わないときは、勧告することができる。
(公表)
第27条 市長は、建築行為者が前条の勧告に従わないときは、建築行為者の意見を聴取した上で、当該勧告の内容及び勧告に従わない者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)その他規則で定める事項を公表することができる。
第4章 緑の普及
(市民等との協働)
第28条 市は、市民等が、緑地の保全及び緑化の推進に関する施策に積極的に参画できる体制の整備に努めなければならない。
2 市民等は、緑地の保全及び緑化の推進に関する市の施策に参画するよう努めるものとする。
(育成)
第29条 市長は、子どもたちに対して、市域の緑豊かな環境が将来にわたり保全され、かつ、増進されていくことの大切さを学習できる場を提供するよう努めるものとする。
2 市長は、子どもたちが地域において自ら緑に関する活動に取り組むための団体並びに緑地の保全及び緑化の推進を目的として活動する市民団体(以下「緑化団体」という。)の育成に努めるものとする。
(助成等)
第30条 市長は、緑地の保全及び緑化の推進を達成するため必要と認めるときは、市民等、緑化団体その他緑化の推進に寄与するものに対し、技術的助言及び指導をし、並びに財政的な支援をすることができる。
第5章 雑則
(委任)
第31条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前になされた緑化に係る届出その他の行為は、第21条第1項の規定による緑化の計画の提出及びその承認があったものとみなす。