○一宮市火災調査規程

平成7年3月1日

消防本部訓令第1号

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、別に定めがあるもののほか、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて行う火災の調査(以下「調査」という。)に関し、必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、すべての火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害を明らかにして、将来の火災予防施策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の区分)

第3条 調査を、火災原因調査(以下「原因調査」という。)と火災損害調査(以下「損害調査」という。)に区分する。

2 原因調査は、おおむね次に掲げる事項について行うものとする。

(1) 出火原因(出火箇所並びに発火源、経過及び着火物をいう。)

(2) 初期消火等の状況(火災の発見、初期消火及び通報の状況をいう。)

(3) 火災の性状(延焼経路及び延焼拡大の要因をいう。)

(4) 避難状況(火災現場における避難者及び要救助者の行動並びに救出及び救助状況並びに死傷者発生の状況をいう。)

(5) 消防用設備等(設置及び活用の状況をいう。)

(6) 前各号に掲げるもののほか必要な事項

3 損害調査は、おおむね次に掲げる事項について行うものとする。この場合において、消火のために要した経費、焼跡整理、り災のための休業による損失等間接的な損害の調査は除くものとする。

(1) 焼き損害(火災により焼きした物及び熱により破損した物の損害をいう。)

(2) 消火損害(消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。)

(3) 爆発損害(爆発現象の破壊作用により受けた損害のうち前2号に掲げるもの以外の損害をいう。)

(4) 死傷者(火災が直接の原因となって死亡し、又は負傷した者をいう。)

第2章 火災の基準

(火災の定義)

第4条 火災とは、人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。

(火災の件数)

第5条 火災の件数は、1つの出火点から拡大したものであって、出火に始まり鎮火するまでを1件とする。ただし、火災現場から消防隊が引き揚げた後に発生した飛火による火災は、別件の火災とする。

(火災の種別)

第6条 火災は、次のように区分する。

(1) 建物火災(建物又はその収容物が焼損した火災をいう。)

(2) 林野火災(森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。)

(3) 車両火災(自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。)

(4) 船舶火災(船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。)

(5) 航空機火災(航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。)

(6) その他の火災(前各号に該当しない火災をいう。)

2 1件の火災で異なる種別の火災が発生したときは、焼き損害額の大きなものの種別により区分する。ただし、その態様により損害額の大きなものの種別によるところが適当でないと認められるときは、この限りでない。

(焼損程度)

第7条 焼損程度は、次に定めるところにより棟ごとに区分する。

(1) 全焼(建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。)

(2) 半焼(建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。)

(3) 部分焼(建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。)

(4) ぼや(建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。)

第3章 調査体制

(平17消本訓令2・一部改正)

(調査本部)

第9条 消防長は、消防行政上必要があると認める火災については、調査本部を設置するものとする。

2 調査本部の組織、任務分担等調査本部の活動に必要な事項は、別に定める。

(調査体制の確立)

第10条 署長又は予防課長(以下「署長等」という。)は、調査を行うための体制を確立しておかなければならない。

(平17消本訓令14・一部改正)

(調査の着手)

第11条 署長等は、火災を覚知したときは、調査責任者を定め、調査に着手しなければならない。

(調査の応援要請)

第12条 署長等は、調査のため必要があると認めるときは、相互に応援を求めることができる。

2 署長等は、前項の要請があったときは、調査に従事する職員(以下「調査員」という。)を派遣し、調査に協力させるものとする。

第4章 調査員の心構え

(調査の責任)

第13条 調査責任者は、関係者等との調整を図るとともに、調査員を指揮し、調査全般の進行が円滑に行われるよう努めなければならない。

(調査員の心得)

第14条 調査員は、消防長の補助執行者としての認識を自覚し、関係法令及び火災事象の科学的研究を行い、調査能力の向上に努めなければならない。

(警察等との協力)

第15条 調査責任者は、警察等関係行政機関と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査に当たらなければならない。

第5章 原因調査

(調査の原則)

第16条 原因調査は、火災の実態を明らかにするために、事実を確認することを主眼とし、先入観に捕らわれることなく、科学的な方法と合理的な判断によって行わなければならない。

(消火活動中の現場保存)

第17条 消火活動に従事する職員(以下「消防隊員」という。)は、出火箇所と認められる場所及びその付近(以下「現場」という。)の消火活動に当たって、物品を移動し、又は破壊しようとする場合は、調査に支障を及ぼさないよう現場の保存に努めなければならない。

(鎮火後の現場保存)

第18条 消火活動を終了した場合において、署長等は、現場保存の必要があると認めるときは、次に掲げる事項に留意して、現場保存区域の設定を行うものとする。

(1) 現場保存区域は、調査上必要とされる最小限度にとどめること。

(2) 現場保存区域は、ロープ張り又は張札で表示すること。

(3) 現場保存区域は、必要に応じ監視員を置き、保存の万全を図ること。

(4) 現場保存区域に、署長等が立入りを必要と認めた者以外の者を出入りさせないこと。

(死者の取扱い)

第19条 署長等は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに消防長に報告するとともに、警察署長に通報し、現場保存等必要な措置を講じなければならない。

(火災状況の見分)

第20条 消防隊員、救助隊員等は、火災現場に出場したときは、火災の状況を見分するとともに、必要に応じて出火出動時における見分調査書を作成しなければならない。

2 前項の見分調査書は、必要に応じ、図面、写真等参考となるものを添付するものとする。

(平25消本訓令1・令4消本訓令2・一部改正)

(実況見分)

第21条 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めるとともに、実況(鑑識)見分調査書を作成しなければならない。ただし、火災の種別及び規模によりこれを省略することができる。

2 前項の規定による火災現場の見分又は資料の収集は、努めて関係者(法第2条第4項に定める者をいう。以下同じ。)の立会いを求め行うものとする。

(平25消本訓令1・令4消本訓令2・一部改正)

(写真)

第22条 前条第1項の規定による見分を行うときは、見分の内容を明らかとするため現場写真を撮影して、写真票を作成し、必要な説明を記載しておかなければならない。

(平25消本訓令1・一部改正)

(現場復元図)

第23条 調査員は、必要に応じて、実況見分、関係者に対する質問等の情報収集により知り得た事実を基礎として、現場復元図を作成しなければならない。

(平25消本訓令1・一部改正)

第6章 質問

(質問)

第24条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 前項に規定する質問は、次の事項に留意して行うものとする。

(1) 強制によらず、任意により情報を収集すること。

(2) 伝聞や推定によらず、事実たる情報を収集すること。

(質問調査書)

第25条 前条の質問により知り得た情報で、原因判定に必要と思われる事項については、質問調査書に記録しなければならない。

(平25消本訓令1・令4消本訓令2・一部改正)

(意思能力の欠ける者への質問)

第26条 調査員は、第24条第1項の質問を行う場合において、幼児等意思能力に欠けると認められる本人から事実たる情報を得る必要があるときは、親権者その他の保護者の立会を求めなければならない。

(被疑者に対する質問)

第27条 調査員は、警察署に留置されている放火若しくは失火の犯罪の被疑者に対し質問をし、又は押収された証拠物の調査をするときは、質問・証拠物調査要請書により請求するものとする。

(平25消本訓令1・一部改正)

第7章 原因の判定

(原因の判定)

第28条 火災原因は、消防隊見分、実況見分、関係者からの情報収集、実験その他関係資料を総合的に検討して判定するものとし、その立証にあたっては、物的調査による資料を基礎とし、人的調査による資料によりこれを裏付けるものとする。

(火災調査書等)

第29条 前条の規定により、火災原因を判定したときは、火災調査書(建物火災の被害に係る面積がおおむね50平方メートル以上の場合にあっては、火災原因判定書)及び火災原因損害調査報告書を作成しなければならない。

2 前項の火災原因判定書には、原因判定の理由及びその経過を系統的かつ明確に記載しなければならない。

(平25消本訓令1・令4消本訓令2・一部改正)

第8章 損害調査

(損害調査)

第30条 損害調査を行うに当たっては、り災した物件を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

2 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官通知)による。

3 前2項の規定により、損害額を決定した時は、損害額計算書を作成しなければならない。ただし、火災の種別及び規模により必要がないと認めるときは、この限りでない。

(平25消本訓令1・一部改正)

(収容物等損害明細書)

第31条 損害調査のために必要があるときは、関係者に、火災における収容物等損害明細書の提出を求めるものとする。

(平25消本訓令1・一部改正)

第9章 資料の提出等

(資料の提出等)

第32条 調査のため、関係者等に対して資料の提出を求めるときは、一宮市火災予防査察規程(昭和57年一宮市消防本部訓令第5号)第16条及び第18条の規定を準用する。この場合において、同規程第16条中「査察」とあるのは、「調査」と読み替えるものとする。

(平21消本訓令8・一部改正)

(官公署への照会)

第33条 調査のため、法第32条第2項の規定に基づき関係のある官公署に対して通報を求める場合は、火災原因の調査について(照会)により行うものとする。

(平25消本訓令1・一部改正)

第10章 鑑定等

(鑑定等の依頼)

第34条 消防長は、原因調査に関し調査資料の鑑定及び実験(以下「鑑定等」という。)を必要とするときは、部外の学識経験者又は関係官公署に対し、鑑定等を依頼することができる。

第11章 調査書類の作成及び報告

(書類作成上の原則)

第35条 調査書類(以下「書類」という。)の作成に当たっては、事実をありのままに表現するよう努めなければならない。

(署名)

第36条 書類には、原則として作成年月日、作成者の所属、階級及び氏名を記載しなければならない。ただし、関係者等から提出された書類については、この限りでない。

(令4消本訓令2・一部改正)

(火災原因損害調査報告書)

第37条 調査員は、調査の結果を別表の区分に応じ、必要とされる書類により消防長に報告しなければならない。この場合において、別表の規定により必要とされない書類であっても、添付することが適当と認められるものについては、添付しなければならない。

第12章 雑則

(火災に該当しない焼損)

第38条 調査責任者は、調査の結果、第4条に定める火災に該当しないと判断したものについては、焼損記録書を作成するものとする。

(平25消本訓令1・一部改正)

(官公署等からの照会)

第39条 官公署等からの火災調査の結果の照会に対する回答は、火災調査の結果について(回答)により行うものとする。

(平25消本訓令1・一部改正)

(り災証明)

第40条 消防長は、関係者等からり災証明願が提出されたときは、火災原因損害調査報告書又は焼損記録書で確認できる事実について、り災証明書により証明することができる。

(平25消本訓令1・一部改正)

(帳票等)

第41条 この規程の施行に関し必要な帳票等の名称は、次のとおりとし、その様式は、消防長が別に定める。

(1) 出火出動時における見分調査書

(2) 実況(鑑識)見分調査書

(3) 写真票

(4) 質問調査書

(5) 質問・証拠物調査要請書

(6) 火災調査書

(7) 火災原因判定書

(8) 火災原因損害調査報告書

(9) 損害額計算書

(10) 収容物等損害明細書

(11) 火災原因の調査について(照会)

(12) 焼損記録書

(13) 火災調査の結果について(回答)

(14) り災証明願

(15) り災証明書

(平25消本訓令1・追加、令4消本訓令2・一部改正)

(雑則)

第42条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(平25消本訓令1・旧第41条繰下)

(施行期日)

1 この訓令は、平成7年3月1日から施行し、同年1月1日から適用する。

(一宮市火災調査規程の廃止)

2 一宮市火災調査規程(平成元年消防本部訓令第4号)は、廃止する。

(平成10年4月1日消本訓令第3号)

この訓令は、平成10年4月1日から施行する。

(平成14年10月29日消本訓令第6号)

この訓令は、平成14年10月29日から施行し、改正後の一宮市火災調査規程の規定は、同月1日から適用する。

(平成15年1月14日消本訓令第1号)

この訓令は、平成15年1月14日から施行し、改正後の一宮市火災調査規程の規定は、同月1日から適用する。

(平成15年4月14日消本訓令第6号)

この訓令は、平成15年4月14日から施行し、改正後の一宮市火災調査規程の規定は、同月1日から適用する。

(平成16年10月26日消本訓令第5号)

1 この訓令は、平成16年11月1日から施行する。

2 この訓令の施行の際現に改正前の各訓令の規定に基づき作成されている帳票は、改正後の各訓令の規定にかかわらず、当分の間、使用することができる。

(平成17年3月24日消本訓令第2号)

(施行期日)

1 この訓令は、平成17年4月1日から施行する。

(平成17年3月24日消本訓令第14号)

この訓令は、平成17年4月1日から施行する。

(平成18年12月15日消本訓令第9号)

この訓令は、平成19年1月1日から施行する。

(平成21年4月24日消本訓令第6号)

この訓令は、平成21年4月24日から施行し、第1条の規定による改正後の火災予防査察規程及び第2条の規定による改正後の一宮市火災調査規程の規定は、同月1日から適用する。

(平成21年5月27日消本訓令第8号)

(施行期日)

1 この訓令は、平成21年6月1日から施行する。

(平成25年1月24日消本訓令第1号)

この訓令は、平成25年2月1日から施行する。

(令和4年12月1日消本訓令第2号)

(施行期日)

1 この訓令は、令和5年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の際、現に改正前の一宮市火災調査規程の規定に基づき作成されている帳票等は、改正後の一宮市火災調査規程の規定にかかわらず、当分の間、使用することができる。

別表(第37条関係)

(平15消本訓令1・平25消本訓令1・令4消本訓令2・一部改正)

書類別








火災の区分

火災原因損害調査報告書

火災調査書

火災原因判定書

実況(鑑識)見分調査書

出火出動時における見分調査書

質問調査書

現場関係図面

写真票

収容物等損害明細書

損害額計算書

左記以外の参考資料

建物火災

おおむね50m2以上

 

おおむね50m2未満



 

 

 

ぼや



 

 

 

 

 

建物火災以外の火災

 

 

 

 

 

 

一宮市火災調査規程

平成7年3月1日 消防本部訓令第1号

(令和5年1月1日施行)

体系情報
第15類 防/第3章 火災予防
沿革情報
平成7年3月1日 消防本部訓令第1号
平成10年4月1日 消防本部訓令第3号
平成14年10月29日 消防本部訓令第6号
平成15年1月14日 消防本部訓令第1号
平成15年4月14日 消防本部訓令第6号
平成16年10月26日 消防本部訓令第5号
平成17年3月24日 消防本部訓令第2号
平成17年3月24日 消防本部訓令第14号
平成18年12月15日 消防本部訓令第9号
平成21年4月24日 消防本部訓令第6号
平成21年5月27日 消防本部訓令第8号
平成25年1月24日 消防本部訓令第1号
令和4年12月1日 消防本部訓令第2号