○一宮市犯罪被害者等支援条例

令和5年12月21日

条例第38号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)の規定に基づき、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に推進し、犯罪被害者等の権利利益の保護、受けた被害の回復又は軽減及び生活の再建を図るとともに、犯罪被害者等を支える社会意識の形成を促進し、もって市民が安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族

(3) 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるようにするための支援

(4) 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、加害者及びその関係者の不誠実な言動、周囲の者の理解又は配慮に欠ける言動、インターネットを通じて行われるぼう中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、名誉の毀損、生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害

(5) 民間支援団体 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第23条第1項に規定する犯罪被害者等早期援助団体その他の犯罪被害者等支援を主たる目的とする民間の団体

(基本理念)

第3条 犯罪被害者等は、個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。

2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、当該犯罪被害者等支援により二次被害及び再被害(犯罪被害者が更なる犯罪等により受ける被害をいう。)が生じることのないよう十分配慮して行われなければならない。

3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、途切れることなく提供されることを旨として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、県、民間支援団体その他の関係者と連携し、犯罪被害者等支援に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることがないよう十分配慮するとともに、市が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、市が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 犯罪被害者等を雇用する事業者は、犯罪被害者等がその被害に係る捜査並びに民事及び刑事に関する手続に適切に関与することができるよう、その就労及び勤務について、十分に配慮するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第7条 市は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している様々な問題について、相談への対応、必要な情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、犯罪被害者等支援を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(経済的負担の軽減等)

第8条 市は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、犯罪等により日常生活を営むことについて支障がある犯罪被害者等に対し、日常生活に必要な支援を行うものとする。

3 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、市営住宅への入居における特別の配慮その他の必要な支援を行うものとする。

(広報及び啓発)

第9条 市は、市民が犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性及び二次被害の防止の重要性について理解を深めることができるよう、広報及び啓発を行うものとする。

(人材の育成)

第10条 市は、犯罪被害者等支援に従事する人材の育成を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(個人情報の適切な管理)

第11条 市は、犯罪被害者等支援における個人情報の重要性を認識し、犯罪被害者等及びその関係者の個人情報を適切に管理しなければならない。

(意見の反映)

第12条 市は、犯罪被害者等支援に当たっては、犯罪被害者等その他市民からの意見、要望等を把握し、市の施策に反映させるよう努めるものとする。

(支援を行わないことができる場合)

第13条 市は、犯罪被害者等が犯罪等を誘発したときその他犯罪被害者等支援を行うことが社会通念上適切でないと認められるときは、犯罪被害者等支援を行わないことができる。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

一宮市犯罪被害者等支援条例

令和5年12月21日 条例第38号

(令和5年12月21日施行)