○一宮市産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例
令和2年12月21日
条例第63号
(目的)
第1条 この条例は、産業廃棄物処理施設の設置に係る計画の事前公開及び紛争のあっせんに関し必要な事項を定めることにより、産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整を図ることを目的とする。
(1) 産業廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)第2条第4項の産業廃棄物をいう。
(2) 産業廃棄物処理施設 次に掲げる施設をいう。
ア 産業廃棄物を処分する施設
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を業とする者が設置する産業廃棄物の積替え又は保管を行う施設
(3) 産業廃棄物処理施設の設置 産業廃棄物処理施設の新たな設置又は規則で定める変更をいう。
(4) 紛争 産業廃棄物処理施設の設置に伴い、関係地域に生じるおそれのある環境の保全上の支障に関して、関係住民と事業者との間で生じる争いをいう。
(5) 事業者 産業廃棄物処理施設の設置をしようとする者をいう。
(6) 関係地域 産業廃棄物処理施設の設置に伴い、環境の保全上の支障が生じるおそれがある地域として、第6条第1項の規定により市長が定める地域をいう。
(7) 関係住民 関係地域内に住所を有する者、関係地域内で事業活動を行う者その他規則で定める利害関係を有する者をいう。
(市の責務)
第3条 市は、産業廃棄物処理施設の設置が適正かつ円滑に行われるように、事業者に対し関係地域の環境の保全に十分配慮するよう指導するとともに、産業廃棄物の適正な処理に関する関係地域への啓発に努めるものとする。
2 市は、紛争の予防に努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整を図るものとする。
(事業者及び関係住民の責務)
第4条 事業者は、産業廃棄物処理施設の設置に当たっては、関係地域の環境の保全に十分配慮するとともに、関係住民との良好な関係を保ち、紛争を未然に防止するよう努めなければならない。
2 事業者及び関係住民は、相互の立場を尊重し、紛争が生じたときは、自主的に解決するよう努めるとともに、紛争の予防及び調整に関して市が行う施策に協力するよう努めなければならない。
(事業計画書の提出)
第5条 事業者は、規則で定めるところにより、産業廃棄物処理施設の設置に係る計画(以下「事業計画」という。)について、次に掲げる事項を記載した事業計画書(以下「事業計画書」という。)を市長に提出しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 産業廃棄物処理施設の設置の場所
(3) 産業廃棄物処理施設の種類
(4) 産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類
(5) 産業廃棄物処理施設の処理能力(最終処分場の場合にあっては埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容積、埋立処理施設の場合にあっては埋立処理の用に供される場所の面積及び埋立容積)
(6) 産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
(7) 産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
(8) 産業廃棄物の最終処分場である場合にあっては、災害防止のための計画
(9) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 事業計画書には、当該産業廃棄物処理施設の設置をすることが周辺地域の環境に及ぼす影響についての調査の結果その他規則で定める事項を記載した書類(以下「環境保全対策書」という。)を添付しなければならない。
3 事業者は、規則で定める距離の区域内に当該産業廃棄物処理施設の設置をする場合には、環境保全対策書と併せて、騒音に関する自主規制目標値その他規則で定める事項を記載した環境保全のための目標等の遵守を内容とする誓約書(以下「遵守誓約書」という。)を市長に提出しなければならない。
4 事業計画書、環境保全対策書及び遵守誓約書(以下「事業計画書等」という。)の提出は、当該産業廃棄物処理施設の設置に係る廃棄物処理法に基づく申請その他の行為(規則で定めるものに限る。)の前にしなければならない。
(関係地域の設定等)
第6条 市長は、事業計画書等の提出があったときは、規則で定めるところにより、関係地域を定めるものとする。
2 市長は、前項の規定により関係地域を設定したときは、速やかに、その旨を事業者及び関係地域の代表者に通知するものとする。
3 市長は、第1項の関係地域を設定するに当たって、当該産業廃棄物処理施設の設置が本市に隣接する他の市の住民に対し環境の保全上の支障が生じるおそれがあると認めるときは、当該市の長に事業計画書が提出されている旨の通知をするものとする。
(告示及び縦覧)
第7条 市長は、前条第2項の規定による通知をしたときは、速やかに、関係地域、縦覧場所その他規則で定める事項を告示し、事業計画書等を当該告示の日から30日間縦覧に供さなければならない。
(周知計画書の提出)
第8条 事業者は、第6条第2項の規定による通知を受けたときは、関係住民を対象とした事業計画についての説明会(以下「説明会」という。)の開催その他の周知方法に関する事項を記載した書類(以下「周知計画書」という。)を市長に提出しなければならない。
(説明会の開催等)
第9条 事業者は、正当な理由がある場合を除くほか、第7条に規定する縦覧期間内に、規則で定めるところにより、関係地域内において説明会を開催しなければならない。ただし、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がないときは、関係地域以外の場所において開催することができる。
2 市長は、事業者が正当な理由がなく説明会を開催しないときは、当該事業者に対し、期限を付して説明会を開催するよう求めるものとする。
3 事業者は、第1項の説明会の開催のほか、事業計画の概要を記載した書類の配布又は回覧により、関係住民に対し周知に努めなければならない。
4 事業者は、関係住民に対し事業計画について周知を図ったときは、規則で定めるところにより、その実施状況について市長に報告しなければならない。
2 市長は、前項の意見書の提出があったときは、その写しを事業者に送付するものとする。
3 事業者は、前項の規定により意見書の写しの送付を受けたときは、速やかに、当該意見書の要旨を記載した書類(以下「要旨書」という。)を市長に提出しなければならない。
(見解書の提出)
第11条 事業者は、前条第3項の要旨書の提出後、遅滞なく、意見書に対する見解を記載した書面(以下「見解書」という。)を作成し、市長に提出しなければならない。
2 事業者は、前項の見解書の提出後、規則で定めるところにより、関係住民に対し見解書について周知をしなければならない。
3 事業者は、前項の規定により関係住民に対し見解書について周知を図ったときは、規則で定めるところにより、その実施状況について市長に報告しなければならない。
(意見の調整)
第12条 市長は、意見書及び見解書に十分配慮し、関係地域の環境の保全上の見地から必要があると認めるときは、事業計画について関係住民と事業者との間の意見の調整を行うことができる。
2 関係住民は、前項の協定の締結について協力するよう努めなければならない。
3 市長は、第1項の協定の締結に際し、その内容について必要な助言を行うことができる。
4 事業者は、環境保全協定において第5条第3項の遵守誓約書に係る内容が変更される場合には、その旨を市長に届け出なければならない。
(事業計画書等の変更)
第14条 事業者は、事業計画書等の内容を変更しようとするときは、その旨を市長に届け出なければならない。
2 事業者は、周知計画書の内容を変更しようとするときは、その旨を市長に届け出なければならない。
(事業計画の廃止の届出等)
第15条 事業者は、事業計画を廃止しようとするときは、その旨を市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、速やかに、その旨を告示し、関係地域の代表者に通知するものとする。
(あっせん)
第16条 事業者又は関係住民は、紛争が自主的な解決に至らなかったときは、市長にあっせんの申請をすることができる。
2 市長は、前項の申請があった場合は、あっせんを行うものとする。ただし、この条例に規定する手続を誠実に遵守していない者からの申請であるときその他その性質上市長があっせんを行うことが適当でないと認めるときは、この限りでない。
3 市長は、前項の規定によりあっせんを行うときは、双方の主張の要点を確かめ紛争が解決されるよう努めるものとし、必要に応じて、一宮市産業廃棄物処理施設設置調整委員会に諮問するものとする。
(あっせんの打切り)
第17条 市長は、あっせんに係る紛争について当事者があっせんに応じないとき、又は紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
2 市長は、あっせんを打ち切ったときは、その旨を当事者に通知するものとする。
(環境保全誓約書の提出)
第18条 前条第1項の規定によりあっせんを打ち切った場合において、環境保全協定を締結できないことが事業者の責めに帰さない事由によるときは、事業者は、規則で定めるところにより、環境保全に関する誓約書(以下「環境保全誓約書」という。)を市長及び関係地域の代表者に提出しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により環境保全誓約書を提出したときは、当該関係地域の代表者への提出状況について市長に報告しなければならない。
3 事業者は、環境保全誓約書において第5条第3項の遵守誓約書に係る内容が変更される場合には、その旨を市長に届け出なければならない。
(産業廃棄物処理施設設置調整委員会)
第19条 第16条第3項の規定による諮問に応じ、必要な事項について調査審議するため、一宮市産業廃棄物処理施設設置調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、委員5人以内をもって組織する。
3 委員は、廃棄物の処理、法律又は環境に関し専門知識を有する者のうちから市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員会の会議は、公開しない。
7 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職務を退いた後も同様とする。
(報告及び検査)
第20条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者、土地の所有者及びその他の関係者(以下この条において「事業者等」という。)から必要な報告を求めることができる。
2 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、事業者等の管理する敷地又は建物に立ち入り、必要な帳簿書類、施設その他の物件を検査させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 第2項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(勧告及び公表)
第21条 市長は、事業者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該事業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(1) 事業計画書等の提出をせず、又は虚偽の事業計画書等の提出をしたとき。
(2) 第9条第2項の規定により市長が開催するよう求めた説明会を正当な理由がなく開催しないとき。
(3) 見解書を正当な理由がなく提出しないとき。
(4) 前3号に掲げるもののほか、この条例に規定する手続の全部若しくは一部を正当な理由がなく行わず、又は不正若しくは不誠実な方法でこれを行ったとき。
2 市長は、前項の規定による勧告をした場合において、事業者が当該勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、その事実を公表することができる。
3 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、公表の対象となる事業者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。
(適用除外)
第22条 次に掲げる産業廃棄物処理施設については、この条例の規定は適用しない。
(1) 産業廃棄物を排出する者(中間処理業者(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。)を除く。)が当該産業廃棄物を自ら処理するために設置する産業廃棄物処理施設であって、当該産業廃棄物を排出する工場又は事業場の敷地内に設置する廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第7条第3号、第5号、第8号、第10号の2及び第11号の2から第14号までに規定する施設を除く産業廃棄物処理施設
(2) 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車に搭載され、又はけん引される産業廃棄物処理施設その他移動式の産業廃棄物処理施設(同一の敷地内で継続的に使用するものを除く。)
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に愛知県知事に対して申請がされている産業廃棄物処理施設の設置に係る計画の事前公開及び紛争のあっせんについては、なお従前の例による。